過去3年間でイスラエルは、ガザや占領下のヨルダン川西岸だけでなく、レバノン、シリア、イエメン、そして最近ではイランにおいても攻撃を行い、地域の不安定化を招く主体として存在感を強めてきました。
一方、トルコはウクライナからガザ、さらにイランに至るまで、さまざまな危機において外交的解決を模索し続けていますが、イスラエルがこうしたアンカラの取り組みを様々な形で妨げようとしていると指摘されています。
アンカラを拠点とするアナリストのギョクハン・バトゥ氏は、イスラエルの対トルコ姿勢は特にこの2年間で強硬化しており、軍事的なニュアンスを含むメッセージが増えていると述べています。
トルコは、イスラエルがガザで開始した戦争について、最も厳しい批判を行っている国の一つです。この戦争は、数十万人の命を奪い、地域の大部分を破壊する結果をもたらしました。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は国際的な圧力の高まりに直面しており、国際的な司法機関から逮捕状が出されているほか、国内でも自身の政治的立場を維持するために戦争を利用しているとの批判が強まっていると報じられています。
バトゥ氏によれば、イスラエルの対トルコ姿勢の強硬化は、トルコの中東における影響力の拡大という文脈の中で理解すべきだとされています。
バトゥ氏は「この姿勢は、トルコの中東における影響力の拡大、そしてイスラエルと均衡し得る唯一のアクターとして浮上していることを踏まえると、よりよく理解できます」と述べ、TRT Worldの取材に対してトルコの役割の重要性を強調しました。
また、トルコの発展する防衛産業や先進的な無人航空機、さらに他国からも高く評価されている海軍力の向上が、ネタニヤフ政権にとって懸念材料となっているとも指摘されています。
さらに、トルコがこの夏、アンカラで重要なNATO首脳会議を開催する予定である点も注目されています。
NATO第2位の規模を誇る軍を持つトルコとイギリスの間で締結された防衛協定も、トルコの西側同盟における役割を一層強化する要因とみられています。
なぜNATOは重要なのか?
ブルサ工科大学の研究者アリ・ブラク・ダルジュル氏によれば、イスラエルがトルコのNATO加盟に不快感を抱いている理由は、この加盟によって、トルコがリビアからソマリア、シリアに至る広範な地域で展開する活動を外部から阻止することが難しくなるためだとされています。
ダルジュル氏は、イスラエルの現在の「急進的で神権的」な政権が攻撃的な姿勢を取っているにもかかわらず、トルコは引き続き理性的な政治主体として行動し、ネタニヤフ政権の挑発に対してもバランスの取れた対応を行うだろうと述べています。
また、トルコはソマリアとエチオピアの対立において仲介役を担い、ソマリアの領土的一体性の維持に努めている一方で、イスラエルはソマリランド承認に向けた動きを通じて地域の均衡を崩そうとしていると指摘されています。
東アフリカの事例と同様に、トルコはイランをめぐる危機においても緊張緩和に向けた努力を続けているとされています。
シリアでは、イスラエルがさまざまな民族・宗教集団を支援しつつ攻撃を続ける一方で、トルコは強力な中央政府の下での安定化に寄与していると評価されています。
アナリストのバトゥ氏は、トルコのNATO加盟がネタニヤフ政権の急進的政策に対する重要な抑止要因になっているとし、イスラエルによるプロパガンダ活動はこの点において効果を持たず、「実りのない試み」だと指摘しています。
トルコはソマリアからコソボに至るまで数多くのNATO任務に貢献しており、特にコソボでは同盟の平和維持ミッションを主導しています。一方で、アメリカ国内の親イスラエル系ロビーや支持者が、NATO内でトルコに対する否定的な認識を広める目的で、議論を呼ぶ報告書を発表しているとも指摘されています。
国立防衛大学の研究者オズギュル・キョルペ氏は、NATO加盟国ではない主体が「NATOの規範」を持ち出して批判を行うことは、同盟内部の議論に影響を与えようとする試みと見なされると述べています。
さらにキョルペ氏は、一部の親イスラエル系シンクタンクが、NATOの集団的脅威認識を地域レベルで再定義しようとしており、トルコの国家安全保障上の優先事項が意図的に「同盟内の不一致」として描かれていると指摘しています。
トルコの役割に対する議論は、単なる軍事力の問題ではなく、国際秩序の多極化が進む中での変化と深く関係しているとも評価されています。トルコはもはや冷戦期のように、単に同盟の南東の境界を守るだけの静的な存在ではありません。
キョルペ氏は、トルコを批判する勢力の多くはNATO加盟国ではなく、限られた「常に反対を唱えるグループ」に過ぎないと述べています。
また、イスラエルのプロパガンダ活動にもかかわらず、ガザでの攻撃やヨルダン川西岸での入植者による暴力に対する批判は、トルコ国内だけでなく西側社会でも高まっています。
スペインや最近ではイタリアなどのNATO加盟国がイスラエルを強く批判していることは、西側世界においてもテルアビブへの不満が広がっていることを示しています。
専門家らは、NATOはこれまでも多くの危機を乗り越えてきており、現在の緊張も管理可能であると指摘しています。
ダルジュル氏は、同盟がイスラエルの攻撃的政策やイランとの戦争に対しても、理性的な対応を取るだろうと述べています。
そして、「トルコなしにヨーロッパが真の安全保障体制を構築することは不可能であり、イスラエルがNATOの将来を決定することはできない」との評価も示されています。
さらに、イスラエルの多方面にわたる軍事行動は国内でも疲弊を招いており、能力の限界に近づいている可能性があるとも指摘されています。
戦略的自律性
専門家は、トルコが米国や他の地域で展開されている親イスラエル的なプロパガンダ活動を認識した上で、各地域における自国の利益を守るために「戦略的自律性」の政策を追求していると指摘しています。
トルコのNATO加盟はアンカラにとって重要なレバレッジを提供していますが、その本質的な強みは、自国の能力と政治的・軍事的ポテンシャルにあるとされています。
防衛産業から北アフリカ、アゼルバイジャン、パキスタンに至るまで広がる影響力は、トルコの地域的な存在感を一層強固なものにしています。
また、米国の親イスラエル勢力やナフタリ・ベネット元首相などがトルコの影響力拡大を抑えようとしているものの、アンカラはこうした圧力にもかかわらず、自らの外交路線を着実に維持していると指摘されています。
キョルペ氏は、トルコが包囲や孤立を図る試みに対抗するため、戦略的自律性をさらに深化させていくとの見方を示しています。
さらに、トルコはNATO内での制度的地位と地政学的な重要性を、今後も外交的なレバレッジとして活用し続けると強調されています。

















